ショートデッキホールデムについて追記

確率論

概要

 ショートデッキホールデム(Short Deck Hold’em, 6+ Hold’em)について、以前ルールを説明した記事

を書いたのであるが、改めて調べ直した結果、テキサスホールデムとは少し異なるルールでプレイされることが一般的であるらしいことが分かった。筆者が開発したゲーム”Exotic Poker”では、このゲームを表現することが現状できていないということで、修正ついでに追記することにする。ショートデッキホールデムを普及させたのがTriton Poker Seriesと言われるポーカー大会のルールで、この大会のルールがデファクトスタンダードであるらしいので、そのルールに沿って説明する。

ブラインドの取り扱い

 テキサスホールデムでは、ブラインドはSBが0.5bb、BBが1bb負担するのが通常である。Triton Poker Seriesのショートデッキホールデムでは、ブラインドを負担するのはBTNのプレイヤーであるらしい。また、Anteが1bb=1anteでプレイされるらしく、1bbという単位ではなく1 anteと表現されるようである。ante = 1ante, BTN blind = 1 anteのようになるらしい。BTN以外のプレイヤーが1 ante、BTNのプレイヤーが1 ante + blind(1 ante)を負担することになる。

 プリフロップにおけるアクションの順番はテキサスホールデムと同じで、BTNのプレイヤーは手前のプレイヤーがフォールドかリンプインしかいない場合でもRaiseが可能である(テキサスホールデムのBBと同じ扱い)。BBのプレイヤーが最後で、BBのプレイヤーはブラインドを払っていないので追加チップを払わない場合はフォールドになる。

 また、プレイされるスタックサイズも100bbではなく、40bb (40 ante)でプレイされることが一般的であるらしい。anteが高く、スタックが浅めであるため、テキサスホールデムの25bb程度のゲームのプレイ感に近いようである。ショートデッキホールデムはプリフロップで大きな差が付きづらいルール設計であり、かつ、スタックが浅いということで、運の要素が強めなゲームになっているように見える。

VPIPがテキサスホールデムの倍ぐらいになる

 もともとショートデッキホールデムのルールは、熟練プレイヤーと慣れていないプレイヤーで差が付きやすいテキサスホールデムを、よりカジュアルに経験によって差が付きにくいゲームにすることを意図して設計されたようである。そのため、ポーカーのルールのみならず、チップに関するルールもフォールドしづらく、運要素が強めになるように意図的に設計されているらしい。

 結果として、ショートデッキホールデムのVPIPは35~55%程度になり、テキサスホールデムの倍近くになることが一般的であるらしい。ChatGPTによるとポジション毎のVPIPは以下のようなイメージらしい。

平均UTGMPCOBTNSBBB
45%30%35%45%70%75%80%

スタックが浅いにもかかわらず、3betもテキサスホールデムの倍くらい打つのがセオリーらしい。強い手札は3bet~4bet、弱い手札同士の競争ではlimp potも珍しくないということで、差が付きづらいとはいえプリフロップのプレイの重要性が高いようである。勝率が高い手札順にVPIPに相当するレンジが知りたい場合は、以下のページのツールを利用すればよいだろう。

 VPIPが高いため、マルチウェイになる比率が高く、3~4人がフロップに残ることが多いようである。フラッシュが成立する確率が低いため、セット、ストレート、フルハウスが強い役で、特にストレートの成立確率が高いため、手札のコネクティビティが重要になる(JT,T9が意外に強い)ことは以前の記事で述べたとおりである。

フロップ以降の戦略

 プリフロップの参入率が高く、スタックが浅いため、大体のハンドはフロップかターンで決着するようである(フォールドかオールイン対決になる)。リバーの戦略はここでは無視して、フロップ、ターンでどれくらいの強さがあればオールインしてよいかを示しておく。

[フロップ]

  • ツーペア以上の役:ボードの状況がよほど悪くない限りオールインが推奨
  • TPTK:フロップ時点では強いため、オールインになることが多い
  • トップペア弱キッカー、ミドルペア:様子見。チェックで回るか、フロップがLimp potの場合などはベットを検討、薄いベット(25% betなど)にコールするか判断する。
  • ボトムペア以下:フォールド
  • コンボドロー:役はないが、ストレートドローとフラッシュドローが付いている場合などはオールインにコールしてよい。ストレートドローからのストレートはテキサスホールデムより成立確率が高いので、フロップで攻撃的に立ち回ってよい。

[ターン]

  • TPTK以上の役がオールイン対象。ボードの状況で負けている可能性が高い場合は適切にフォールドする。
  • マルチウェイの場合はツーペア以上、コンボドローはオールイン可能
  • それ以下の役はフォールド

運の要素が強めであるため、ゲームのルール的にブラフで降りてくれるということはあまりなさそうなので、バリュー重視で強い役ができたら(できそうなら)オールインするというのが基本になりそうである。

トーナメントの設計

 筆者はルールがよくわかっておらず、テキサスホールデムの派生形ぐらいにしか思っていなかったのであるが、ショートデッキホールデムのMTTは通常ショートスタックで、レベルアップも時間が短めに設定されていることが多いようである。オンラインであれば、1回のトーナメントが30分ぐらいで決着するように設計されていることもあるらしい。最初からPush or Foldに近い感じでプレイしないと、あっという間にanteとレベルアップでスタックが無くなってしまうため、短時間で遊べるギャンブルという感じなのかもしれない。この辺りの設計は筆者のゲームでもうまく取り入れて再設計することで、普通にショートデッキホールデムが楽しめるようにできればと考えている。