テキサスホールデムをテーマに曲を作ってみた 10 (完)

音楽

歌詞

 なんとなくここまでの曲は暗い曲に女性ボーカルを採用している気がしたので、最後は女性ボーカルの明るいポップソングで終わりにしようと思う。日本のアニソンっぽい曲にしようということで、元気一杯の女の子が歌いそうな歌詞にしてみた。タイトルの”Calling”はもちろんポーカーのCallのことだが、天職とか使命という意味もあるらしい。”ポーカーが私を呼んでいる”みたいな歌詞だと思えば理解できるだろう。

🎵 Calling 🎵

[Verse 1]
Boring college lectures drag along,
Just wasting time, nothing felt strong.
But then I met my destiny—
The greatest game was calling me!

[Verse 2]
“Going to casinos? Are you hooked?”
My friends look worried, misunderstood.
But this, I know, was heaven-sent—
A mission from the firmament.

[Pre-Chorus]
It feels just like I’m falling deep in love,
Can’t stop thinking of the game I’m dreaming of.
All day long I count the time—
Till I can play and make it mine!

[Chorus]
When it’s showtime, I shine like a movie star,
Playing strength and weakness, raising the bar.
Poker face? No, no—
Frowns don’t suit me, let it go!
With my best performance, I’ll steal the show!

[Bridge]
Most players lose, it’s tough to win,
The house and sharks will pull you in.
It’s luck and skill, a ruthless stage—
But I will rise and turn the page.
To stay true to who I am inside—
I’ll play my way and turn the tide!

[Chorus]
The tough guy’s bluffing, playing wild and bold,
A villain trying to fool the princess gold.
Is that a bluff? Yes, yes!
You think you’ve got me? Take a guess!
Here comes justice—All-in, no less!

[Final Chorus]
When it’s showtime, I shine like a movie star,
Deceiving eyes with grace from near and far.
Poker face? No, no—
A real star shines with a smile, you know!
With my best performance, I’ll steal the show—Yeah!

出来た曲

 今回は最初から日本のアニソンみたいな曲にするということで、J-Pop, Electro popという感じの音楽スタイルにした。生成された曲で筆者が気に入った曲は以下の曲である。

[Youtube]

[Suno AI]

ちなみに、歌詞や歌詞に埋め込むタグを書いているときにイメージしていた曲がミスチルの”箒星”だったので、似せて作った感を少しでも感じてもらえたらいいんじゃないかなと思う。もちろん、何曲生成してもイメージ通りいかなくて、捨てている曲も多いので、上記の曲は偶然の産物にすぎないことは注意しておく。間奏からBridgeは”名もなき詩”の流れをイメージしてタグを埋め込んでいて、早口から音程を上げてコーラスにつなげる感じにしてみた。歌詞が全体的にファンタジー的であるが、早口で現実はこんなものという風に歌って、だけど(But)からファンタジーに戻るという流れになっているだろう。

英語圏のポップ歌手みたいにするとどうなるか

 もしあなたが前節で提示した曲を気に入って、類似の女性アーティストを探してみたいと考えたと仮定する。この場合、英語の曲であるから海外の女性アーティストから探そうとするかもしれない。しかし、英語圏の女性ポップ歌手の中から類似のアーティストを探すのはおそらく不可能に近いと推測される。この仮定が正しい場合、あなたが好きな音楽は日本のアニソンであるし、アニソン以外のお薦めのアーティストはミスチルやB’z、女性ボーカルが良ければJudy and Maryなどになるだろう。英語圏の女性ポップ歌手の中にこういった音楽スタイルが存在しづらいことにはいくつか原因があると推測できるからである。

 最も大きな理由でどうしようもないものは、日本語と英語の言語としての本質的な差異によるというものである。日本人が洋楽を聴いて感じることは、歌詞が棒読みされているように聴こえて、音程の変化が無いように感じるというものだろう。これは英語特有のリズムやイントネーションに原因があると言われており、同じ曲でも英語圏の人が聴こえる感覚と日本人が聴こえる感覚は全く異なっているらしい(世界中のヒットチャートを総なめした曲が日本のヒットチャートではランクインすらしていないということがしばしば起こるが、これが原因らしい。)。楽譜では音程が変わっているにもかかわらず、日本人が聴くと音程が変わっていないように聴こえてしまうということもあるようである。反対に、前節のような曲は英語圏の人が聴くと、音程が変わりすぎていて不自然に聴こえるのかもしれない。英語圏の人にとって日本語は習得が最も難しい言語の一つと言われるが、日本人にとっても英語を習得することが難しいことは理解できるだろう。

 もう一つは文化的な背景の差異によるものである。邦楽では1曲の中で基本的にストーリーがあり、Verse, Pre-Chorus, Chorus, Bridge, Final Chorusみたいに1曲の中で異なるメロディがいくつもあるのに対して、洋楽ではシンプルな構成が好まれるようで、Verse, Chorus, Verse, Chorusのように2つぐらいのメロディで構成されることが多いようである。ChorusがVerseのメロディを踏襲している場合もあり、日本人が聴くとVerse, Verse, Verse・・・みたいに聴こえる場合も少なくないと思われる。メロディよりリズムやグルーブ感を重視する傾向があるらしく、歌詞も単純な言葉を繰り返すことが多い(歌詞を複雑にするとリズム感やグルーブ感を出しづらくなるため)。外国で話題になった曲を日本人が聴くと、”何このメロディがないリズムだけの曲、歌詞に意味がねえし、どこがいいんだよ”みたいな感想になってしまうのは、この辺りに原因があるのだろう。

 また、ビジネスとしての性質も反映されている側面があると推測できる。日本のアニソン歌手や女性ポップ歌手の多くは対象となるリスナーとして男性を想定していることが多いと思われる。男性が聴きたいと思うような歌詞やメロディを作詞作曲していたり、レコード会社やプロデューサーの要望に対応していると推測できる。テンポが速いアグレッシブな曲が多いのもリスナーとして男性を想定していることに原因がありそうである。女性歌手によっては、音楽スタイルが好みでなかったり、歌詞の内容について自分は本当はそんな人間ではないとか思いながら、”キモオタども、これが聴きたいんだろ”みたいな感じで歌っている場合も少なくないのかもしれない。

 これに対して、海外の女性アーティストが想定しているリスナーは女性であることが多いと推測できる。少し頭が悪いけど元気いっぱいの女の子というのは男性が求める女性像であって、現実の女性像や女性がこうありたいと思うイメージとはかけ離れたものであると推測される。英語圏の女性ポップ歌手は、現実の女性像や女性がこうありたいと願うイメージを表現して女性から共感を得ようとするスタイルが一般的であるだろう。この場合、知的でクールな自立した女性像を表現することが多いのではないだろうか。反対に、歌詞に登場する男性は”私のことを下に見て、なめてんじゃねんよ”とか”私はイケてるのに、あのバカは最悪”みたいな描かれ方をされる傾向があるように思える。女性アーティストが男性に対して媚びを売るような曲を作ったり、アルバムのジャケットを作ったりすると、女性側から”なんだあの女性歌手は、絶対に許すな”みたいな雰囲気になることもあるようである。

海外女性ポップ歌手風の歌詞

 前節の考察を踏まえて、海外女性アーティストっぽい曲に置き換えてみよう。おそらく、現時点において海外の女性ポップ歌手で一番に思い浮かぶのはTaylor Swiftだろう。そのため、最初に示した歌詞をTaylor Swift風にアレンジしてくれとChatGPTにお願いしてみた。作成された歌詞は次の通りである。

🎤「Calling」– Taylor Swift-inspired version

[Verse 1]
Another lecture, clock ticks slow
Dreams asleep in a silent row
But something sparked inside my mind—
A game where truth and lies entwine

[Verse 2]
“You’re chasing luck, you’re playing games”
They call it reckless, call me names
But I don’t gamble—this is fate
The table turns, I captivate

[Pre-Chorus]
And it’s not just fun, it’s art to me
The thrill, the bluff, the strategy
I count the hours, I plan each move
You play to win, I play to prove

[Chorus]
‘Cause when I sit down, lights hit my face
I wear a smile that leaves no trace
Of what I’m holding close to chest
You’ll guess, I’ll lead—you know the rest
Poker face? No, I won’t pretend
I win with charm and make it trend

[Bridge]
Most just fall to cards and pride
Caught in tells they try to hide
But me—I see what lies beneath
Your nervous grin, your gritted teeth
This world is rough, but I survive
I play it smart, I play alive

[Chorus 2]
The villain smiles, he’s playing tough
But darling, I can call your bluff
A tilted crown won’t fool the queen
I’ve seen it all, I stay unseen
You bet it big? Then so will I
All-in, and I don’t even try

[Final Chorus]
And when it’s showtime, I don’t flinch
Your heartbeat breaks with every inch
You think I’m just some Hollywood smile
But I’ve been leading all the while
Poker face? Not part of me
I win with grace and clarity

[Outro]
So deal the cards, I write the scene
I’m not your luck—I’m the machine

歌詞の内容としては、ポーカーは比喩になっていて、生きづらい現実社会(ビジネス社会)を知的にしたたかに生き延びようとする女性像みたいなのを描いているようである。世間の人たちは私が運がいいだけというけどそれは違う、私は自分の戦略が正しいこと(自分の実力)を証明するためにゲームをプレイする、みたいなことを言っている。全体的に仕事ができるキャリアウーマンみたいな人達から共感を得そうな歌詞になっているように見える。

出来た曲

 筆者は(おそらく平均的な)日本人男性であり、海外の女性ポップアーティストが歌う曲が歌詞の棒読みに聴こえてしまうタイプのように思える。正直言って、どういう曲にしたらいいのか全く想像がつかないのであるが、ChatGPTのおすすめはTaylor Swiftの”Blank Space”や”Cruel Summer”のようなElectro Popだった(もちろん、筆者は聴いたことがない)。とりあえず、それっぽい音楽スタイルとElectro Popっぽい楽器をいくつか入れて曲を生成して、クールだけど力強い感じの女性ポップ歌手っぽい曲を選んでみた。

[Youtube]

[Suno AI]

 ”ほらな、お前らこんな曲聴かねえだろ”みたいな説明をしたかったのであるが、思った以上に聴きやすい曲になってしまった・・・海外の女性ポップ歌手っぽい曲になっていればよいけれど。ポップソングであるため、ヒップホップやR&Bと比較すれば、リズムよりメロディを聴かせる曲になっていると思われるが、それでも筆者には曲の一部は歌詞が棒読みされているように聴こえている。Taylor Swiftの曲も初めて聞いたが、聴きやすい曲であるということは感じた。ただし、筆者にとっては繰り返し聴きたくなるような曲ではないだろうな、とも同時に思った。

 音楽と言うとランク付けされたり、あの曲(歌手)はイケてるけど、この曲(歌手)はイケていないなどと議論されることが多いが、本当のことを言うと、どこまでいっても”それってあなた個人の感想ですよね”以上のものにはならないように思う。多くの人がこれは名曲だというものが、あなたにとってはただのゴミと思うこともあるだろうし、反対に、多くの人がこんな曲はイケてないみたいなことを言う曲でも、あなたにとって名曲ならば、それはきっと名曲なのだろうと思う。