概要
筆者はいくつかの無料でプレイできるポーカーアプリを使っているが、その中でもよくプレイするのがエムホールデム(Sammy)である。操作性が非常によいため、プレイしやすいゲームだと感じる。一方で、参加しているプレイヤーのプレイスタイルが一般的なテキサスホールデムのプレイスタイルと大きな乖離があるように感じるゲームでもある。いわゆるリンパー/コーラーと言われるプレイスタイルを採用しているプレイヤーが非常に多いように感じる(上位のランクでは減少するものの、この傾向は変わらないように見える)。
こういったプレイヤーは初心者だからカモだみたいなことがポーカーの本では主張されるため、簡単に勝てるのかと思ったのであるが、筆者がプレイした感覚では下位のランクのプレイヤーは確かに強くないものの、上位のランクにいるリンパー/コーラーは容易に倒すことができる相手には見えないというのが正直な感想である。ChatGPTにこういったルールで、こういうプレイスタイルをするプレイヤーがいる場合にどうプレイしたらいいのかと聞いたところ、意外な回答を得たので紹介しようというのが本稿の内容である。ただし、真偽は定かではない部分(特に筆者の意見は試行錯誤中)があるので、参考程度と考えてもらえればよいと思う。
エムホールデムの特徴的なルール(500bb戦)
エムホールデムでは、基本となるゲームがリングゲームであり、ログインボーナスなどで配られるポイントを賭けて、ユーザ間でどれだけ多くのポイントを一定期間内に獲得できたかを競争するゲームになっている。ランクはブロンズ、シルバー、ゴールド、プロフェッショナルであり、プロフェッショナルまでは一定のポイント数を獲得すれば順位に関係なく上がることができる。プロフェッショナル以降は3つのリーグに分かれて、自分のレベルに合ったリーグを選択してプレイヤー間で競争するゲームになっている。ゲームの基本ルールは次の通りである。
- 基本6人プレイであるが、プレイヤーが2人以上いるとゲームが開始される。
- テキサスホールデムのルール自体は標準的なルールが採用されている。
- アンティが0.25bbであり、毎回すべてのプレイヤーがポットにポイントを投入する。
- スタックは500bbまでバイインできる(超ディープスタック)。他のプレイヤーに勝利することで2500bbまでスタックを増やすことができる。
- レーキは5%固定であるが、ユーザ間の獲得ポイントに応じてランキングを競う形式であるため、あまり考慮する必要はないだろう(獲得ポイントの相対比較であるため、絶対値に意味はない)。ログインボーナスなどで毎日ポイントを配るため、ポイントのインフレ対策という意味合いしかないだろう。
ざっと眺めてみると現金を賭けるゲームではないという点以外は普通のテキサスホールデムであるように見えるかもしれない。しかし、実をいうと上記のルールのうち、明らかに通常ではない際立った特徴を持つルールが存在する。それは4.であり、一般的なキャッシュゲームでは最大のバイインが100bb程度であることが多いようである。エムホールデムでは500bbもスタックがあるために、プリフロップの3ベットが100bbのゲームのミニマムレイズぐらいの賭け金にしかなっていない。例えば、3ベットで9bbまでレイズしたとして、スタックが100bbと500bbではどのくらいの比率をプリフロップで賭けているかを考えれば差は歴然としているだろう。
結果として、多くのプレイヤーがフロップまで参加する傾向があり、マルチウェイのゲームになる比率が非常に高い傾向がある。加えて、マルチウェイであるため、フロップ以降のポットの膨らみ方が大きい傾向がある。2人と5人では同じポットベットでも賭け金の上がり方が2倍違うことに注意する必要がある。フロップ、ターン、リバーと積み上がれば、ヘッズアップと比較してフロップ以降の賭け金が何倍にもなることは理解できるだろう。このゲームはポーカーの本でよく説明されるスタックが100bb程度の場合における3ベット/ヘッズアップが中心のゲームとは全く性質が異なっているように見える。
このゲームに参加しているプレイヤーは特徴があり、ポーカーの本で初心者はこういうプレイをするけど、合理的ではないからやめろと言われるようなプレイ(リンパー/コーラー)をしてくる。具体的には以下のようなものである。
- ゲームへの参加率が高く、プリフロップでリンプインすることが多い。多くの場合、レイズは入っても1回だけである。3ベットレイズに対する反応はプレイヤーによって異なり、他のプレイヤーの3ベットには乗らない(AAやKKを除いて基本的にフォールドする)タイプと手札に関係なく3ベットでもとりあえずコールするタイプである。後者のタイプが多いと3ベットに全員がコールするということもしばしばある。もちろん、教科書的な3ベットレンジだけエントリーするプレイヤーも少なからず存在する。
- アグレッサーでない場合はフロップでは大抵おとなしくコールするかフォールドしてくる。フロップでツーペア以上の役ができると結構な確率でドンクベットを打ってくるか、アグレッサーのベットにリレイズしてくる。
- フロップで全く役にからみそうにない場合はフォールドする。一方で、少しでも強い役ができそうとみるとフロップ、ターンではしつこくコールしてくる(役ができていない場合はレイズはあまりしない)。
- リバーでの戦略が特徴的で、役ができなかった場合はフォールドする一方で、強い役ができた場合は強いベットを打ってくる(そんなの打たれたら降りるだろ、みたいな大きさでもお構いなしで打ってくる)。リバーがオールイン合戦になることも少なくない。
- ナッツに近い役を非常に好み、ストレートやフラッシュ、フルハウスでの競争になることも少なくない。
ネットでは、こういったプレイヤーが多いために、エムホールデムはレベルが低いとか、初心者レベルのプレイヤーが多いのだろうという説明がされることも少なくない。そんなプレイヤーを正しいプレイに導くため、対抗策としてオープンレイズのベット額を上げる(6bbエントリーなど)などタイトアグレッシブなプレイが有利になるように強引に持ちこむという方法が提唱されることもある。しかし、最初に書いたように筆者にはこういったプレイスタイルを採用するプレイヤーが弱いプレイヤーであるように感じられないし、ポーカーの本で書かれるオーソドックスなプレイスタイルもあまり有効であるように思えなかった。
どうやってプレイしたら俺TUEEEができるのか考えていたのだが、いいアイデアが思い浮かばなかったので、ChatGPTに質問してみるという謎な行動をとってしまった。そして、得られた回答があまりに意外なものであったため、おいおい本当かよという気分になった。それは次のようなものである。
500bb戦の戦い方
ChatGPTの回答によるとスタックが500bbある場合の戦略は、スタックが100bbである場合の戦略とは全く異なるものであり、最適な戦略は前節で説明した初心者っぽいプレイスタイル(リンパー/コーラー)に近く、ポーカーの本で説明されるようなスタックが100bbである場合の戦略はむしろEVを捨てるプレイ(期待値マイナスプレイ)であり推奨されないとのことだった。
ChatGPTによると、500bb戦の特徴は以下のようにまとめられる。
- ポストフロップのプレイが極端に深くなる。インプライドオッズが非常に大きくなるため、プリフロップ時点で弱く見える手札も幅広く参加可能になる。特に、ローランクのポケットペア(22~66)やSuited-Connector(54s, 43sなど)、Suited-One-Gapper(75s, 64s など)が戦える手札になる(バリューが大幅に上昇する)。
- プリフロップではリンプインや小さめの3ベットが有効になる場面が増える。スタックが深すぎるため、プリフロップにおける4ベット、5ベットはAAやKK以外は極端に慎重になる必要がある(対戦相手がAAやKKを持っているとオールインされて大損を食らうことになる。)。結果として、3ベットが上限になってしまうことが多く、インプライドオッズから3ベットにコールできるハンドの範囲も大幅に広がる。弱い手札でもリンプインしてフロップまで入れるか様子を見ることが選択肢に入ってくる。
- ナッツハンド(共通カードから構築できる最強の役)重視のレンジ構築、リバーにおける特大ベットなど、一般のスタック戦とは異なるプレイが求められる。
500bb戦ではインプライドオッズが大きい結果として、以下のような特徴がゲームに生じる。
現象 | 説明 |
---|---|
VPIPが高くなる | 多くのハンドが「潜在的に強い役になる」ので参加価値あり |
マルチウェイになりやすい | 多くのプレイヤーが「今は弱いが、当たれば大きい」ハンドで参加 |
フロップ以降のポーカーが複雑化 | 誰が何を持っているかわかりにくく、ナッツ指向のプレイが必要 |
ブラフが通りにくくなる | 相手が「何か当たってる」率が高くなるので、安易なスチールは危険 |
スロープレイに戦略的価値 | 逆転されない範囲で役を作らせてベットを引き出すような運用が必要 |
100bb戦と500bb戦の戦略比較は以下のようなものであるらしい。
100bb戦 | 500bb戦 | |
---|---|---|
(低ランク)ポケットペア | セットマインはオッズが合わない | セットマインが非常に有効 |
Suited-Connector | 低ランクはフォールド | 幅広くプレイ可能 |
トップペア(ワンペア) | 積極的にバリューベット | 慎重にプレイ(ツーペアが出やすい) |
ドローハンド | セミブラフを活用 | ターン以降成立した場合に特大ベット |
リバーでの強ハンド | ポットベットあたりが上限 | ポット3倍以上ベットも可 |
VPIP | 20~25% | 25~30% |
エムホールデムでは、アンティが0.25bbあるのでVPIPはここからさらに10%ぐらい高めにする必要があるだろう。したがって、35~40%ぐらいのVPIPが適切な水準になるのではないだろうか。筆者が採用しているSuitedは全部参加するという戦略については、ポジションがBNやBBの場合は、Suitedであればほぼすべての手札で参戦可能とのことだった。
総じて言えることは、小さい投資でフロップを開く、ナッツに近い強い役が出来た場合強気ベットで急加速、ショーダウンで大きいポットの獲得を狙うというのが強い戦略になるということであるらしい。強気ベットしたらフォールドされるだろうと思うかもしれないが、マルチウェイではなにかしら強い役を完成させている、もしくは、ドロー系のハンドを持っているプレイヤーがいる確率が高いため、このような戦略でもポットを膨らますことができるということであった。100bbのゲームに慣れているプレイヤーから見たら、そんなプレイするなよと言いたくなるかもしれないが、500bbのゲームではこういった戦略に軍配が上がるらしい。
ルースパッシブを基本に強いハンドでアグレッシブにプレイ
要約すると、500bb戦では初心者っぽいルースパッシブな戦略が有効である一方で、ナッツ級の強いハンドではポットオーバーの強気ベットを躊躇しないでアグレッシブに打っていく戦略が重要となる。ChatGPTの回答を踏まえて、こうしたらいいんじゃないかという筆者の意見を簡単にまとめておこう。
- マルチウェイでは手札を絞っても期待値が上がらないため、プリフロップでは幅広い手札でコール/レイズしてよい。ゲームのルール上、プリフロップのベット額が(3ベットであっても)非常に小さい傾向があるためである。対戦相手より一回り狭いレンジになるぐらいがちょうどよいかもしれない。例えば、VPIPが60%ぐらいの対戦相手に対しては、VPIPが40~50%前後ぐらいになるようにエントリーするとよいだろう。弱いハンドだと3ベットでフォールドしたくなるかもしれないが、インプライドオッズが大きいため、大抵のハンドでコールしてかまわない。
- ハンドレンジとしてはSuitedやConnectedを多く含める。ローポケ(66~22), Axs, Kxs、低ランクのSuited-Connector(54s, 43sなど)、Suited-One-Gapper(75s, 64sなど)など。一方で、Off-suitはマルチウェイでは弱い傾向があるため、K3oとかQ5o、J6oみたいな微妙な手札はフォールドで良いかもしれない。ただし、3ベットがほとんど飛んでこないテーブルでは、とりあえずリンプインしておくでもよいかもしれない。
- プレミアムハンドはAA、KKのみぐらいと思っておく方がよい。500bb戦ではAKはそれほど強い手札ではない。AA、KKも可能であればプリフロップでオールインした方が良い。3ベット程度でフロップを見られてしまうと、それほど強い手札ではなくなってしまうケースも少なくない(対戦相手にツーペアを引かれると逆転できる確率が低い。エムホールデムではAAやKKが64とか53みたいなハンドにツーペアを作られて負けるという光景は日常茶飯事である。)。3ベット以下でフロップオープンした場合は、AAやKKでも普通にプレイした方が良い(意味もなく強気にならない、何もヒットしないうちはただのオーバーペアと考える)。
- フロップで滑ったら基本的にフォールドする。ブラフで粘る必要性は低いし、プリフロップのベット額は損切しても微々たるものだろう。反対に、モンスターハンドができた(ツーペア以上の役ができた)場合は、積極的にポットを膨らます。アグレッサーが積極的なタイプであればリバーまでコールでついていって、リバーでリレイズを入れる(途中でリレイズを入れると警戒されて降りられてしまう傾向がある)。ただし、自分より強い役ができる可能性がある場合(ナッツストレートだけどフラッシュが怖い場合など)はさっさとリレイズした方が良いだろう。反対にアグレッサーが消極的なタイプである場合は、ドンクベットをしたり、小さい額のリレイズを入れることで相手を挑発するようにする(ブラフで降ろそうとしているように見せかける)。
- フロップでトップペア・トップキッカー(TPTK)のワンペアなどができている場合はほどほどにベットし、対戦相手が強気に出てきたらフォールドした方が良い。ヘッズアップでは強い役かもしれないが、マルチウェイではプレイヤーが強気に出てくるのがトップのワンペアに勝てるかが基準になっていることが多いように見える。対戦相手が多く残っている場合は、ストレートドローやフラッシュドローなどドロー系のハンドはなるべく粘ってコールする。ヘッズアップでは必要勝率が足りない状況でも、4,5人残っていれば必要勝率は半分程度になるということを頭に入れておくといいだろう。また、インプライドオッズが大きいため、低い確率でも引ける可能性に賭けることに価値がある場合も少なくない。
- オープンレイズで頻繁に6bbや9bbにレイズ(アイソレーションレイズ)するプレイヤーに対しては、バックレイズという戦略が有効である。AAやKK、AKなど強い手札をあえてリンプインして、オープンレイズ後に4倍リレイズをかぶせたり(AK)、オールインする(AAやKK)ことで安易なレイズを抑制することができる。AAやKKはオールインにコールしてもらえるとスタックを全取りできるラッキーな結果になることも多い(ひどい目に合うこともあるけど)。リンプインのレンジに強い手札を一定数含めるなどして、リンプインだからといって弱いわけではないという印象を与えるとよいだろう。このような戦略を用いることで、弱い手札でもフロップを見やすくできる。
- もっと言ってしまうと、6bbや9bbでもベット額としては小さいため、多くのハンドでコールしても問題ない。アイソレーションレイズするプレイヤーはタイトなレンジを持っている可能性が高いので、こちらは相手のハンドレンジを狭く見積もることができる。一方で、相手はリンパー/コーラーのレンジを全く読めないはずなので、フロップ以降有利に戦える可能性が高い。ハンドレンジが広いと勝率は落ちるが、インプライドオッズが大きいと勝率の低さはあまり問題にならないだろう。ハンドレンジを絞る方が相手の思惑通りになってしまうので、逆手にとって戦う方法を用いるといいだろう。
- リバーでブラフを打ったり、ポラライズベットを使ってもよいが頻度を下げた方が良い。ブラフで降りるのは雑魚ハンド(ハイカード、ボトムペア)がほとんどであり、リンパー/コーラーはトップペア以上の役があると大体コールしてくる。ポラライズベットなど使わなくてもトップペア以上の役があれば大体コールしてもらえるので無理に活用する必要がない。また、テーブルのプレイヤーは頻繁に入れ替わるし、誰がどのようなプレイをしているかなどほとんどのプレイヤーは覚えていないだろう。対戦相手の戦略が分からない以上は強い手札は負ける可能性があってもコールするしかないということになる(自分自身も対戦相手の強気ベットに降りづらくなり、トップペア以上はコールせざるを得なくなる)。
- マルチウェイではブラフの戦略的価値が落ちる一方で、スロープレイを効果的に運用する必要がある。逆転のリスクと他のプレイヤーのコール/ベットから得られるリターンの間でバランスを見極めて、素直に強気ベットをぶつけるか、対戦相手からのベットをうまく引き出すかを選択する必要がある。例えば、フロップでフルハウスができたが、同じスートのカードが2枚落ちている場合やストレートが成立しそうなボードであれば、(フロップで降ろしてもほとんどチップを得られないため)リバーまで待つ(他のプレイヤーがストレートやフラッシュを完成させるのを待つ)という戦略もあり得るだろう。この場合、ターンでベットを引き出せる可能性もあるし、リバーでいきなりオールインをぶつけてもコールをもらえる可能性がある。
総じて、一見するとリンパー/コーラーのお仲間のようにも見えるプレイスタイルであるが、期待値を最大化する戦略という意味では最適解に近い戦略と推測される。エムホールデムではリンパー/コーラーにも2種類のプレイヤーがいて、初心者でリンパー/コーラーになっている場合と500bbのスタックをフル活用する目的でリンパー/コーラーっぽいプレイをする上級者がいるのだろう。前者であれば容易に勝てるが、後者の場合は最適な戦略に近い戦略を用いている可能性があり、勝つのは容易ではないということになる。500bb戦ではリンパー/コーラーっぽい戦略がナッシュ均衡戦略に近いものである可能性があり、残念ながら容易なエクスプロイト戦略というものが存在しそうもない(結局、俺TUEEEはできそうにない・・・)。
教科書的な100bb戦の戦略を用いるプレイヤーでも相応に戦えるのは、初心者のリンパー/コーラーの比率が高く、500bbのスタックをフル活用して戦うスタイルを意識的に運用しているプレイヤーがそれほど多くはないためだろう。また、教科書的な100bb戦の戦略を用いるプレイヤーも多く存在し、500bbのスタックがただ積んであるだけ(実質的に100bb戦)というケースも多いのだろう。教科書的な100bb戦の戦略を用いるプレイヤーは上級者リンパー/コーラーと当たるとフラストレーションを感じることが少なくないのではないだろうか。強い手札を雑魚ハンドのスロープレイに刺されて、”そんな雑魚ハンドで入ってくるなよ、これだから素人は(怒)”みたいな批判をしたくなる人もいるだろうが、このゲームではそういった戦略を用いるプレイヤーの方が1枚上手である可能性があるということになる。
エムホールデムで有効な戦略を通常のゲームに持ち込むとド素人な戦略になるかもしれないので、あくまでエムホールデム専用として戦略を運用するべきだろう。例外として、ハイステークスのテーブルではスタックのバイインが”uncapped”である場合があるらしく、金持ちが500bb以上のチップをテーブルに置いてプレイしているという場合があるらしい。この場合は教科書的なプレイがあまり有効ではないかもしれないということで注意が必要だろう。まあ、筆者も含めてほとんどの人には関係のない話だろうけど・・・
おまけ:それでもリンパー/コーラーは許せない場合
ここまで書いてきたが、それでもリンパー/コーラーは許せない、リンパー/コーラーは親の仇、という人向けにリンパー/コーラーへの対抗策を考えてみよう。リンパー/コーラーの弱点は以下のような点にあると考えられる。
- レンジが広すぎるため、相対的に弱いハンドが多く含まれる。
- プリフロップで強いハンドもリンプすることが少なくない。
- (特にフロップにおける)ブラフに対する耐性が低い。
- 強い役ができたとき(ドンクベットやチェックレイズ)と何もできていないとき(チェックコール)でアクションが分かれるため、手札の強さが読みやすい傾向がある。
- 弱いハンドでもドロー(ストレートドロー、フラッシュドロー)があるとリバーまでコールでついてくる傾向がある。強い役が完成した場合はリバーで特大ベットを打つなど分かりやすい行動をとる。
- ブラフを打ってきたり、ブラフキャッチをしてくることはほとんどない。ブラフやブラフキャッチを疑う必要がほぼないため(バリューベットであるため)、適切な回避行動をとりやすい。
これらの特徴を攻撃する戦略は以下のようなものかもしれない。
- リンパー/コーラーより一回り狭いレンジを採用して、相対的に強くなるようにエントリーする。ライト3ベット(2倍でリレイズ)やアイソレーションレイズを活用するが、弱いハンドはきちんとフォールドしてレンジの強さを適切に保つ。バックレイズオールインやリレイズオールインにはAA、KKを除いてコールしないようにする。レンジの強さを保たないでアイソレーションレイズを連発したり、あたまにきてリレイズオールインにコールして戦略を台無しにしないようにする。
- アグレッサーになれる可能性が高く、ポットの支配権を取りやすいため、プリフロップにおけるファイナルレイズは自分がするようにする。フロップ以降は自分が有利なボードの時だけポットを膨らますように管理するなどの戦略をとる。微妙なボードではチェックするなどして、パッシブプレイヤーに無駄なチップを与えない。
- アグレッサーの場合、よほど不利なボードでない限りフロップで33%CBを打つ。運が良いと全員フォールドする。これ以外の無駄なブラフは打たない。
- ドンクベットやチェックレイズが来る場合はツーペア以上できているので、勝てる見込みがなければフォールドする。反対にナッツ級のハンド(ナッツストレート/ナッツフラッシュやフルハウス)が出来ている場合はチャンスなのでオールインまで連れていく。オールインしてもコールしてくる可能性が高い。
- おとなしいがしつこくコールでついてくる場合は、ストレートドローやフラッシュドローを持っているので、狙っている役が読める場合はベットを吊り上げつつ、相手の役が成立しないことを期待する。役が成立しない場合、自分の手札がごみハンドでもブラフで降ろせる可能性が高い。ブラフを活用するならばリバーで行う。リバーでブラフする場合は躊躇せず特大ブラフ(3倍ポットベットなど)を打つ。中途半端なワンペアにコールさせないようにする。リレイズを返されたら、役が成立している(ブラフキャッチではない)のであきらめる。
- フロップの参加人数が4人以上いる場合(3ベットやアイソレーションレイズをしても頻繁に生じる)は上記の戦略は通用しづらいので、おとなしく強い役ができるのを待つ。無理にリンパー/コーラー対策を運用しようとしない。強引にヘッズアップに持ちこもうとすると、強い手札を持っているプレイヤーとの対決になってしまうことが多いので、ある程度決まった手順で人数が絞れない場合はあきらめた方が良い。
- リンパー/コーラー対策は総じてブルドーザーの前で小銭を拾う戦略であり、1回のミスでスタックを全部持っていかれるので、慎重すぎるぐらい慎重に運用する。少しでも怪しい動きがある場合はフォールドを選んだほうが良い。まさかこの手札は持っていないだろうは通用しないので、常に最悪の事態を想定して行動を判断する必要がある。
そんなことは分かってるよ、それでもうまくいかないんだよと思うかもしれないが、リンパー/コーラー狩りに失敗するのはこれらの戦略を適切に運用することが難しいためだろう。リンパー/コーラー勢もこれらの戦略を心得ていて、アイソレーションレイズをするプレイヤーがいると、狙いをつけて攻めてくる場合もあるので、ターゲットとして狙われている気がしたらテーブルを離れた方が良いかもしれない。