オマハホールデム

確率論

概要

 テキサスホールデム同様にオマハホールデムについてもツールを作ったのでリンクを貼っておく。テキサスホールデムやショートデッキホールデム同様にゲームはブラフを打ってこないという意味で人間らしくない対戦相手であるがゲームの雰囲気を見るには十分な機能を有しているだろう。そのうち、人間らしい戦略を実行するNPCを実装出来たら実装するつもりである。

ツールのリンクついでにゲームのルールや特徴について簡単に説明しよう。

ルールと特徴

 オマハホールデムとテキサスホールデムの異なる点は、手札が4枚であることと、役を作る際オマハホールデムは手札から2枚、共通カードから3枚必ず選ばなければならないということである。合計で

\[ \small {}_4 C_2 \times {}_5 C_3 = 6 \times 10 = 60 \]

通りの組み合わせから役を作り、その中で最も強い役を作ったプレイヤーが勝者になる。ルールの違いはこの点だけであり、基本的にはテキサスホールデムと同じルールである。オマハホールデムではベットをできる金額が前のラウンドにおけるポットの総額を超える額を指定できなかったり、1回のベッティングラウンド当たりのレイズの回数に制限が設けられていることもあるようで、ポットリミットオマハ(PLO)と言われることもあるようである。

 テキサスホールデムと比較したゲームの特徴を列挙すると以下の通りである。

  1. テキサスホールデムと比較して強い役ができやすく、スリーカード以上の手札が強い役と認識される傾向がある。ナッツと言われる共通カードから作ることができる最強の役が出来ることも少なくないようである。
  2. プリフロップ時点における手札の強さに差が付きづらく、テキサスホールデムと比較してルースにプレイされる傾向があるようである(タイトアグレッシブなプレイヤーのVPIPが30~40%ぐらい)。
  3. AAやKKを含む手札はオマハホールデムにおいても最強の手札の一角であるが、テキサスホールデムほど勝利確率は高くならない傾向がある。スーティッドを含まないAAKKはプレイヤーが2人でも勝利確率は65%ぐらいにしかならない(これでもスーティッドを含まない手札の中では最強に近い)。ストレートやフラッシュができやすいため、4枚の手札の総合的な強さが重要になる。

ポットリミットの場合のベット額

 テキサスホールデムと異なり、オマハホールデムではベットサイズに制限があるポットリミットというルールが付いてプレイされることが多いらしい。具体的には、最大のベット額が

    最大ベット可能額 = ポットの総額

対戦相手にレイズされている場合は

    最大ベット可能額 = ポットの総額 + コールする場合の投入額 × 2

で計算される。具体例を挙げると、ポットリミットの場合はプリフロップからいきなりオールインということができない。プリフロップのオープンレイズ、3ベット、4ベットとする場合に最大のレイズ額は以下のように計算される。オープンレイズはBBから1bbにレイズをされている状態なので

 オープンレイズ:3.5bb = 1.5bb + 1bb × 2

が最大レイズ額になる。オープンレイズが最大のレイズをした場合(3.5bbにレイズ、ポット合計が5bb)、3ベットの最大レイズ可能額は

 3ベットリレイズ:12bb = 5bb + 3.5bb × 2

となる。3ベットが最大のレイズをした場合(12bbにレイズ、ポット合計が17bb)、4ベットの最大レイズ可能額は

 4ベットリリレイズ:41bb = 17bb + 12bb × 2

となる。

 フロップ以降も同様の制限が付くが、ポット額は前のラウンドの額を引き次ぐものの、コール額は引き継がずに各ラウンドでベットやレイズされた額を用いて計算する。テキサスホールデムと異なり、いきなりオールインやポットオーバーベットには制限がかかることがあるということに注意する必要があるだろう。ベットの大きさでビビらせようみたいなブラフが通りづらくなるので、ブラフをする場合は相応のストーリーが必要になるかもしれない。

オマハハイロー

 オマハホールデムの一形態として、オマハハイローというゲームがあるらしい。一つのゲーム内でポーカーの役として強いハンド(ハイハンド)と弱いハンド(ローハンド)の二つについて勝者を決定して、ポットの半分をハイハンドの勝者、残り半分をローハンドの勝者に配分する。ハイハンドの仕様は通常のオマハホールデムと同じであるが、ローハンドは特別仕様なので簡単に説明しよう。

 ローハンドでは、ランクの強さが\(\small A>2>3>\cdots>K \)で判定される。また、ペアがあるハンドは無効であり、ローハンドを持っていないと判定される。ローハンドはストレートやフラッシュであってもよいが、役の強さには含まれずランクの強さのみで判定される。例えば、A2345はローハンドにおける最強の役になる。ローハンドを持っているプレイヤーが一人もいない場合(共通カードでフォーカードができている場合など)はローハンドは無効になり、ハイハンドの勝者がポットのすべてを獲得する。もちろん、ハイハンドの勝者とローハンドの勝者が同一のプレイヤーであることも可能であり、その場合はポットの総額を獲得することができる。

まとめ

 オマハホールデムは、ルースで強い役ができる確率を予測するのが楽しいという(ルースパッシブな?)プレイヤーにとっては面白そうなゲームであるだろう。確率の計算が複雑すぎるように見えるため、直感的な計算で考えると確率の評価を間違えるかもしれない。この意味で、経験を多く積んでいるプレイヤーの方が強くなりやすいゲームであるかもしれない。オマハハイローについても、気が向いたら勝率計算やハンドレンジ、ゲームのページを作ろうと思う。