VPIPとハンドレンジ:オマハホールデム

確率論

概要

 テキサスホールデムやショートデッキホールデムで作ったように、オマハホールデムについても指定したVPIPに対応するハンドレンジを勝利確率が高い順に表示する機能を作ろうというのが本稿の趣旨である。前回の投稿で述べたように、オマハホールデムではプリフロップにおける本質的な手札の組み合わせが16432通りあると考えられるため、表示するのも難しいし、そもそも一つ一つの手札を人間が覚えるというのも現実的ではないだろう。そのため、いくばくかの簡略化を施したうえで表示する方法を考えよう。

 前回の投稿の最後に述べたが、スーティッドがどのランクの組み合わせでできているかで分けると手札の組み合わせが相当にややこしくなる。一方で、それは勝利確率にはそれほどの影響を持っていないと推測できる。フラッシュ同士のぶつかり合いは稀であるし、キッカー勝負の勝敗を決めるのはランクが大きい1枚のみであるためである。そのため、スーティッドは一つにまとめてしまって、どのランクの組み合わせでできているかは考慮しないことにする。XXYZsは4通り、XYZWsは11通り、XYZWssは3通りあるが、各カテゴリのスーティッドの勝利確率は以下の手札に代表させることにする。

  • XXYZs・・・XX[YZo]os
  • XYZWs・・・XYZWsoos
  • XYZWss・・・XYZWssuu

表の構成

 前節の仮定を踏まえたうえで、手札を以下の3つに分割する。

  1. ペアが一つ以上できている場合
  2. ペアが一つもなく、高いランクの2枚の手札が9以上である場合
  3. ペアが一つもなく、低いランクの2枚の手札が7以下である場合

スーティッドは”o”,”s”,”ss”とあるが、勝利確率はスーティッドの数が多いほど勝率が上がるため、それぞれのマスのエントリーする手札を”ss”のみエントリー、”s”と”ss”のみエントリー、すべてエントリーの3つで色分けして表現することにする。これにより、表で”o”,”s”,”ss”を区別したマスを用意する必要がなくなることに注意する。それぞれの表の縦軸と横軸は以下の通りである。

  1. ペアになっている手札のランク13個(AA~22)を横軸にして、2枚の手札の組み合わせ\(\small 13+{}_{13}C_2 = 13 + 78 = 91\)を縦軸に並べてランクの組み合わせを表現する。縦軸にポケットペアも含めることに注意する。例えば、AAKKは、KKAAとAAKKの二つのマスがあるが片方(右上)は使用しないようにする。
  2. 横軸にランクが高い2つのカードの組み合わせを並べる。AK,AQ,AJ,AT,A9,KQ,KJ,KT,K9,QJ,QT,Q9,JT,J9,T9の15個が横軸になる。縦軸はQJ,QT,…,Q2,JT,J9,…,J2,…のように並べて、ペアができてしまうマスや横軸より縦軸が高いランクになってしまうマスは使用しないようにする。
  3. 横軸にランクが低い2つのカードの組み合わせを並べる。76,75,74,73,72,65,64,63,62,54,53,52,43,42,32の15個が横軸になる。縦軸はA8,A7,…,A2,Q8,Q7,…,Q2,…のように並べて、ペアができてしまうマスや横軸より縦軸が低いランクになってしまうマスは使用しないようにする。

一応この表現方法ですべてのランクの組み合わせを表現することができる。巨大な表であるが、858通りや715通りなどと言った組み合わせを1列に並べるよりは大分見やすいのではないかと考える。また、第3表は勝利確率が比較的低いため、VPIPが低い場合は第1表と第2表のみ見れば大体問題がないという意味でも理解しやすいのではないだろうか。

実装

 上記の方針で表を作成したので、リンクを貼っておく。確率計算がなかなか収束せず、モンテカルロシミュレーションの回数を10万回にして計算したため、計算に1週間以上かかってしまった・・・。オマハホールデムの概要の説明は次回にまとめようと思う。