概要
ショートデッキホールデムについて説明したノリでオマハホールデムについても説明を書こうと思ったのであるが、オマハホールデムは手札の組み合わせが非常に多い。テキサスホールデムのようにプリフロップでどの手札でエントリーするかといった表はおそらく存在しておらず、高ランクのストレートやフラッシュが狙いやすい手札が強い傾向があり、大体の感覚でエントリーする手札を決めていると推測される。
テキサスホールデムでは手札の組み合わせは52枚のカードから2枚を引いた場合の組み合わせであるから\(\small {}_{52}C_2=1326\)通り存在する。本質的な手札の組み合わせは169通りであり
- ポケットぺア・・・13×6=78
- オフスート・・・78×12=936
- スーティッド・・・78×4=312
という組み合わせになる。
オマハホールデムについても、これと同じ感じで手札を分類したいと考えたが相当に難しく感じる。手札の組み合わせは52枚のカードから4枚を引いた場合の組み合わせであるから\(\small {}_{52}C_4=270725\)通りも存在する。最後にまとめるが、筆者の計算が正しければ本質的な組み合わせは16432通り存在すると考えられる。さすがに、そんなものは分類できないぞと思うかもしれないが、暇つぶしに計算してしまったので掲載しようというのが本稿の内容である(どんだけ暇なんだよ・・・)。
手札を以下のように分類して、それぞれ組み合わせの数を計算しよう。
- 手札のランクが4枚とも一致している(XXXX)
- 手札のランクが3枚一致している(XXXY)
- 手札のランクが2枚一致している組が2つ存在する(XXYY)
- 手札のランクが2枚一致している組が1つ存在する(XXYZ)
- すべての手札のランクが異なる(XYZW)
また、スートの表現として4つ並んだランクのカードのスートが一致している場合にs,uという記号を割り当て、他のカードとは一致していないスートの場合はoと表すことにする。例えば、1枚目と3枚目のスートが一致しており、他の二つがスートが異なる場合はsosoと表す。
手札のランクが4枚とも一致している場合
配られたカードのランクがすべて一致しているというケースはほとんどないし、手札としてはそれほど強いものではないだろう。手札としてはAAAA~2222までの13通りであるし、カードの組み合わせ(コンボ)としても13 / 270725通りである。必然的にスートはすべて異なるため、XXXX=XXXXooooという表現になる。
手札のランクが3枚一致している場合
XXXYはXとYの組み合わせで\(\small {}_{13}P_2=156\)のランクの組み合わせがある(順番が変わるとハンドが変わるため順列で計算する)。XとYでスートが一致するカードがある場合とない場合でハンドを分けることができる。そのため、ハンドとしてはXXXYo(=XXXYoooo)とXXXYs(=XXXYsoos)で156通りずつあり、合計で312組のハンドがあることになる。コンボの数としてはXのスートの組み合わせとYのスートの組み合わせが\(\small {}_{4}C_3\times{}_{4}C_1=4\times4=16\)通りあるため、156×16=2496 / 270725通りである。オフスートとスーティッドは確率が50/50であり、それぞれ1248コンボである。
手札のランクが2枚一致している組が2つ存在する場合
XXYYはXとYの組み合わせで\(\small {}_{13}C_2=78\)通りのランクの組み合わせがある(順番が変わっても同じハンドであるため組み合わせで計算する)。コンボの数としてはXのスートの組み合わせとYのスートの組み合わせが\(\small {}_{4}C_2\times{}_{4}C_2=6\times6=36\)通りあるため、78×36=2808 / 270725通りである。スートの組み合わせは、すべてのスートが異なるXXYYo(=XXYYoooo)、スーティッドが一つ存在するXXYYs(=XXXYsoso)、スーティッドが2つ存在するXXYYss(=XXXYsusu)の3通りがある。それぞれのコンボ数は
- XXYYo・・・78×6=468
- XXYYs・・・78×24=1872
- XXYYss・・・78×6=468
である。
手札のランクが2枚一致している組が1つ存在する場合
XXYZはXとYとZの組み合わせで\(\small {}_{13}C_1\times {}_{12}C_2=13 \times 66 = 858\)通りのランクの組み合わせがある。XXはYZのランクの強さと関係ないがY>Zでなければならないため、このような計算になる。コンボ数はスートの組み合わせが\(\small 6 \times 4 \times 4 = 96 \)通りあるので、\(\small 858 \times 96 = 82368 / 270725\)だけある。大体1/3ぐらいの確率で手札でワンペアができているということになる。
このパターンはスートの組み合わせが若干複雑で、YZがスートかどうか、XYでスートがあるかどうか、XZでスートがあるかどうかの3つの情報が必要になる。これを\(\small XX[YZs_1]s_2s_3 \)と表し、\(\small s_1\)がYZがスートかどうか、\(\small s_2\)がXYでスートがあるかどうか、\(\small s_3\)がXZでスートがあるかどうかをそれぞれ表すこととする。これにより、考えられるスートの組み合わせは以下の6通りになる。
- XX[YZo]oo・・・858×12=10296
- XX[YZo]so・・・858×24=20592
- XX[YZo]os・・・858×24=20592
- XX[YZo]ss・・・858×12=10296
- XX[YZs]oo・・・858×12=10296
- XX[YZs]ss・・・858×12=10296
すべての手札のランクが異なる場合
XYZWは\(\small {}_{13}C_4 = 715\)通りのランクの組み合わせがある。一般性を失うことなく、ランクの強さはX>Y>Z>Wであるとしよう。スートの組み合わせは\(\small 4 \times 4 \times 4 \times 4 = 256 \)通りあるので、コンボ数は\(\small 715 \times 256 = 183040 / 270725\)通りである。スートの組み合わせが非常に複雑であり15パターンもある。
- オフスート(oooo)・・・4つのスートがすべて異なる。
- シングル・スーティッド(ssoo,soso,soos,osso,osos,ooss)・・・スーティッドが1つある
- ダブル・スーティッド(ssuu,susu, suus)・・・スーティッドが2つある
- トライスーティッド(ssso, ssos, soss, osss)・・・3枚同じスートのカードがある
- クアッドスーティッド(ssss)・・・4枚のスートがすべて同じである。
それぞれのコンボ数は以下の通りである。
- オフスート(o)・・・715×24=17160
- シングル・スーティッド・・・715×24×6=102960
- ダブル・スーティッド・・・715×12×3=25740
- トライスーティッド・・・715×12×4=34320
- クアッドスーティッド・・・715×4=2860
まとめ
ここまで計算した結果を表にまとめると次の通りである。
記号 | ハンド数 | コンボ数 |
XXXX=XXXXoooo | 13 | 13 |
XXXYo=XXXYoooo | 156 | 1248 |
XXXYs=XXXYsoos | 156 | 1248 |
XXYYo=XXYYoooo | 78 | 468 |
XXYYs=XXYYsoso | 78 | 1872 |
XXYYss=XXYYsusu | 78 | 468 |
XX[YZo]oo=XXYZoooo | 858 | 10296 |
XX[YZo]so=XXYZsoso | 858 | 20592 |
XX[YZo]os=XXYZsoos | 858 | 20592 |
XX[YZo]ss=XXYZsusu | 858 | 10296 |
XX[YZs]oo=XXYZooss | 858 | 10296 |
XX[YZs]ss=XXYZsoss | 858 | 10296 |
XYZWoooo | 715 | 17160 |
XYZWssoo | 715 | 17160 |
XYZWsoso | 715 | 17160 |
XYZWsoos | 715 | 17160 |
XYZWosso | 715 | 17160 |
XYZWosos | 715 | 17160 |
XYZWooss | 715 | 17160 |
XYZWssuu | 715 | 8580 |
XYZWsusu | 715 | 8580 |
XYZWsuus | 715 | 8580 |
XYZWssso | 715 | 8580 |
XYZWssos | 715 | 8580 |
XYZWsoss | 715 | 8580 |
XYZWosss | 715 | 8580 |
XYZWssss | 715 | 2860 |
合計 | 16432 | 270725 |
ハンドの組み合わせがテキサスホールデムの100倍近くあるということで、1個1個の手札のベット戦略を覚えるというよりは、特徴となるルールを覚えておいて、それ毎にベット戦略を決めるということになるだろう。これはそのうち考えるが、とりあえず16432通りの勝利確率を計算してみようか・・・
現実にハンドの強さを判断する際はスートの組み合わせがどのカードかなどあまり気にせず、オフスートかシングル・スーティッドかダブル・スーティッドかぐらいでしか区別しないかもしれない。この場合、XX[YZo]so、XX[YZo]os、XX[YZs]oo、XX[YZs]ssなどは、XXYZsとして一つにまとめてしまい、勝利確率はこれらの平均値で算出するなどして簡略化できるかもしれない。この場合、記号とコンボ数は以下のようになるだろう。90%ぐらいの確率でスーティッドができる計算になるため、スーティッドがないハンドをプレイすることはあまり多くないのかもしれない。VPIPに対応したハンドレンジなどを表示する方法については次回考えよう。
記号 | ハンド数 | コンボ数 |
XXXX | 13 | 13 |
XXXYo | 156 | 1248 |
XXXYs | 156 | 1248 |
XXYYo | 78 | 468 |
XXYYs | 78 | 1872 |
XXYYss | 78 | 468 |
XXYZo | 858 | 10296 |
XXYZs | 858 | 61776 |
XXYZss | 858 | 10296 |
XYZWo | 715 | 17160 |
XYZWs | 715 | 140140 |
XYZWss | 715 | 25740 |